心をはぐくむ演劇教育 じぶんクリエーションアカデミー
冨永真佑(とみながまゆ)です。
11/11(日)東京都内にてじぶんクリエーションアカデミー第1回目のワークショップを行いました。
まずは当日の様子を動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。
参加者の声はこちら
今日は、じぶんクリエーションアカデミー第1回のワークショップの模様をご紹介しながら、改めてこれからの日本教育に確実に必要な、演劇教育の重要性をお伝えしたいと思います。
目次
体験することは頭で理解するの何倍もの気づきがある。それを体感するためのワークショップ
第1回目は私の友人であり、ドラマ教育を長きに渡り勉強されている高田絵里さんを特別講師にお迎えし、前半をドラマケーション、後半を演技での2部構成にしました。
演劇と言うとそれだけで敷居が高い、自分には関係ないと思ってしまう方が本当に多いのですが、これからの日本に演劇教育は必ず必要になってきます。
自分を表現することは、本来、皆が一律に持っている本能的欲求です。
それを子供の内から知らず知らずのうちに隠してしまうのが日本の文化でした。
けれど、そのせいで陰湿ないじめが起きたり、パワハラやモラハラが起きたり、こういった社会を改善させていくには、自分の意思をはっきりと伝え、自分らしい感覚を見失わない教育が必要なのです。
そのためにも、「演劇教育」は絶対に必要なのです。
演劇には2種類。じぶクリでおススメしているのは演技を磨くのではなく、心を磨くための演劇
まず、演劇には2種類あります。
いわゆる「お芝居をする人」を目指す演劇。
児童劇団、社会人劇団からプロまで。
こちらは脚本という作品を形にして、観客に見せることが目的になりますから、誰かに見せることを前提で作っていきます。
これは演じることが好きで、人前に立つことに抵抗が無い。
演じたい!という欲求の強い方が進むべき道ですね。
「演劇」というと、ほとんどの方がそれを連想するので、「いやぁ、自分はいいです」になってしまうのだと思われます(笑)
そうではなく、もう1つの演劇。
これがじぶクリで行っている演劇教育です。
じぶクリは舞台制作ではなく、「心をはぐくむ手段として演劇を使うこと」を目的としています。
のちのちはレッスンの成果を公演という形で表現することもしたいとは思っていますが、最初からそこを目指しているわけではありません。
人は自分が体験したこと、経験したこと、育った環境、幼いころから教えられたことなどで常識や価値観を形成していきます。
それがストレスの無い、自分にとって心地の良いものであれば、あなたはおそらくこの記事をご覧になっていないでしょう。
何か違う。居心地が悪い。
そういう感覚を持ちながら、解決法を探していらっしゃるのであれば、「演劇教育」を体験してみることをおすすめします。
なぜなら、体感することで得られる気づきは頭で理解することの何倍も得られるものが多いからです。
これはやらないとわかりません。
ただ、1回やってみれば「ん?ちょっと今までにはない感覚。」
というのを感じていただけると思います。
まずは当日の流れをご紹介しながら、演劇教育で得られるものをお伝えしていきますね。
出来てもできなくでもいい。ゆるい感覚の中で自分を見つける。それがドラマケーション
前半に行ったドラマケーションはこちらのページでもご案内している通り、心と体を動かすアクティビティです。
一見、遊んでいるように見えるだけかもしれないのですが、1つ1つのアクティビティにはすべて狙いがあり、簡単なところから進めて少しずつ難易度を上げることによって、徐々に体感を上げていきます。
そう、演劇教育のワークショップでは大切なことは「体感する」ことなのです。
日本人は長らく、机の前にかじりついて頭で理解することに重きを置く教育でした。
2020年教育改革で、ようやく初めて大きな方向転換が入りそうですが、今、この記事を読んで下さっているあなたも、「頭で理解する」教育を受けてこられたのではないでしょうか?
2020年教育改革について、何がどうかわるのか?おさらいしてみると…
今までは、「教科別に知識を問う問題」が出題されていましたが、「“学力の3要素”に関する多角的・総合的評価を問われる」問題に変わっていくということ。
もう少し噛み砕くと、
「学力の3要素」とは、
1.「知識・技能」
2.「思考力・判断力・表現力」
3.「主体性を持って多様な人々と協力して学ぶ態度」
が必要になってくるということです。
今までの日本の教育は「1」にばかり重点を置いてきました。
その結果、言われたことはできるけど、自分で考えてねと言われるとどうしたらいいのかわからない。
そんな子供が増えてしまったのです。
社会人になっても、企業は、「指示待ちではなく、自分で考えられるアクティブな人材が欲しい」と言いながら、結局は組織に馴染める人間を会社も望むので、本音と建前が違うじゃないか!という不満が新卒3年以内の退職者が3分の1という状況を生んできました。
けれど、人口が減り、若年層がどんどん減って働き手がなくなってくる日本の未来が見えてくると、これではマズイ!ということになり、2020年教育改革が打ち出されたのでは?と思われます。
一人一人のパフォーマンスの高さが無いと、会社が回らなくなってきているのです。
そんな中、演劇教育はこの2020年教育改革にとてもマッチしているのです。
動画の中で、特別講師をお願いした高田絵里さんが、
「小学校でスケールラインをやると、周りの目を気にして嘘の感情で良いほうに立つ」
とおっしゃっていますよね?
本音と建前が違う。
小学校の頃からこういうことをやっていると、大人になって心のバランスが崩れるのは当たり前なのです。
本音が言えないというのは無意識にストレスを生むんですね。
ドラマケーションの中で出される課題は、自由な表現を楽しみながら、自分の枠を取り払い、声を出したり、体を動かすことで、多様な人々と協働して学ぶことを無意識のうちに行っているのです。
演劇は脚本家が書いた脚本の中にいる他人を演じる疑似体験。自信を投影する中で得られる自己発見に意味がある。
今までの日本の国語教育は非常に平面的な内容だったなということを演劇をやると理解できるようになります。
人は普段、感情という心の動きに従って行動しますし、その感情の流れが言葉になっているだけなのです。
感情というのは目に見えませんよね?
その人にしかわかりません。
そして、本音と建前が違うことの多い日本人は、他人の感情を深く推察することに慣れていません。
けれど、大事なのは、その人の本音がどこにあるのかを探る作業。
演劇は「行間」を読むことで感情を把握し、そこが柱になって脚本上のセリフで表現をしていきます。
今回、ハートフルな戯曲をたくさん書かれていらっしゃる高橋いさをさんの「ハロー・グッドバイ」から母娘の会話劇を選びました。
延々と何気ない母娘の会話が続いていきますが、その会話の1つ1つにお互いの感情があります。
「喜怒哀楽」という基本的な感情の中からセリフがどう動いていくのか?これを汲み取る面白さが体感できるようになると、人の感情を客観的に見ることができるようになります。
友達とか、先生とか、親御さんとか、大人になれば会社の同僚や上司…
いろんな人と接していかざるを得なくなりますから、「人の感情を客観的に推察する力」と言うのはコミュニケーションをはぐくむ上では非常に重要です。
自分の軸をしっかりと認識しながら、人に振り回されないことがストレスレスな環境を作っていきます。
演劇はクリエイティブな世界。絵画やモノすくりと同じ無限の楽しさが魅力
演劇の面白いところは、組む相手によって、流れが微妙に変わってくるというところ。
同じ母親でも、演じる人によってキャラクターが違ってきますし、キャラクターが違えば、同じストーリーでも微妙にお話しの膨らみ方が違ってきます。
膨らみ方が違うと、伝えたかったことも変わってきたりして、今回のような10分の会話劇でも非常にたくさんの発見があります。
苦手な役もあればすごくハマる役もありますが、苦手だからこそ逃げないで取り組むと、自分の人生では体験できない疑似体験(知らない世界を垣間見る)が可能になり、最終的には自身の人としての幅を広げることに繋がっていきます。
責める、非難するではなく、許す、受け入れるが出来ると世の中はもっと平和になる
ご自身の環境に当てはめて考えていただきたいのですが、社会では必ず上下関係というのが存在しますよね?
親と子、先生と生徒、上司と部下、年上と年下
ここには上に立った人が下の人を指導したり、教育したりという関係が存在します。
相手が思うように動いてくれないと人はイライラした感情を感じたり、自分の指導が悪いのかと悩んだりしますよね?
また、指導された方も、どうもあの人の言い方は納得いかないとか、そんなこといわれても自分はできないとか、違和感を感じるとコミュニケーションが難しくなってきます。
立場が上の方であれば、まずは相手の力量、性格、好き嫌いなどをあらかじめ知っておくことで掌で転がしてあげるというか、相手の心地よい、相手がすんなりと動ける指導ができると、やって欲しいゴールは同じなのに、感じるストレスはお互いにかなり違ってくるはずなのです。
日本はどうしても、その文化、歴史から目上の人の言うことを聞くのが常識という命令的観点で指導してしまいますが、今の若い人たちにはそれがだんだん通用しなくなってきています。
年齢、立場関係なく、人として許し、受け入れる度量や包容力を上に立つ人が持っていると、目下の人はとても動きやすくなるのでは無いでしょうか?
他人を受け入れ、認めるという発想を加えていくことがお互いの関係を良好なものにしていくのですが、相手だけに要求してきたことがさまざまな問題を生んできたのでは?と私は感じています。
前半のドラマケーションはこれだけ2時間やっても飽き足りないくらい
メニューの組み合わせでもっと深い人間構築を体感することができます。
学校の授業や、会社の研修にも使われ、その効果はこれからもっともっと実証されていくでしょう。
その時その時、集まった顔ぶれで柔軟なカリキュラムをご提供したいと考えています。
動画をご覧になって、興味が湧いた方は、とにかく1度体感しに来てください。
頭で理解ではなく、体感することをおすすめします。
演劇、やらないと本当にもったいないですよ!
体験ワークショップへのお申し込み、お問い合わせは各クラス紹介からお願いいたします。
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